瘀血ってどういうこと?

皆さんは「瘀血」という言葉を聞いたことはありますか?この字を読めない方もいらっしゃるかも知れません。「瘀血」は「おけつ」と読みます。私のコラムでも度々出てくる言葉ですが、特に女性は瘀血の方が多くいらっしゃいます。今日はこの瘀血についてお話しさせていただきます。
瘀血とは
瘀血の「瘀」という字は「停滞」という意味を持ちます。つまり瘀血とは、血の流れが滞っていたり、流れが悪くなっている状態を指します。昔の人は「汚血」と書いたそうですが、実際に瘀血の人の血は黒く油のようにドロドロしていると言われており、まさにぴったりの当て字だったようです。
瘀血に多い所見


- 細絡(赤紫色の細かい蜘蛛の巣状の血管)
- 舌下静脈の怒張(舌の下にある血管が黒い)
- へそ周りの圧痛
- 生理痛やPMS、婦人科疾患
- 手足末端の冷え
- こむらがえり
- 目の下のクマや肝斑
- イライラしやすい
- 肩こり、腰痛
瘀血であると良くない理由
私たちが健康に生きるためには大事なことが二つあります。まず一つは、呼吸をして酸素を取り入れること。もう一つは食事によって栄養を取り入れる事です。人間の体は約60兆個ともいわれる沢山の細胞から出来ています。私たちが健康ということは、この細胞一つ一つが元気に生きているという事になります。細胞が元気に生きるためには、この細胞一つ一つに大事な酸素と栄養が運ばれなくてはなりません。この細胞達に酸素と栄養を運んでいるのが血液なのです。それだけではありません。ウイルスや細菌と戦う免疫細胞、体の働きを調節しているホルモン、体温を保つための熱などこれら全てを血液が運びます。もうこれだけで血液の流れが滞ると身体にどれだけの悪影響を及ぼすのか、想像できるのではないでしょうか。
また、東洋医学の言葉で不通則痛(ふつうそくつう)という言葉があります。様々な原因により気血の巡りが悪くなると痛みが生じるという意味です。瘀血の方は元々血の流れが悪いので不通則痛が起きやすい、つまり身体に様々な痛みが出やすい状態という事なのです。
女性に多いのはなぜ?

女性に瘀血が多いのには、月経(生理)、妊娠、出産が大きく関係していると思います。初潮が来てから閉経まで基本的には毎月一定量の出血があります。妊娠時には、赤ちゃんに血液を通して栄養や酸素を送り、産後は母乳(血液から作られる)を赤ちゃんに与えるため、体の中に血が少ない状態になります。この血が少ない状態を東洋医学では血虚(けっきょ)と言い、血虚が瘀血の原因にもなるのです。
また、これは完全に個人差があるとは思いますが、、、女性は甘い物を好む方が多く、友達とのランチやお茶など甘い物を摂る機会が多かったり、家でも甘い物を常備して糖分の摂取が習慣化している方が多いように感じます。
瘀血にならないために
瘀血にならない為に、瘀血の方は改善するために気をつけてほしい事があります。それは「食事」と「睡眠」です。
食事で気をつけたい事は「油」と「砂糖」の摂りすぎです。どちらも摂りすぎると血液は油っぽくドロドロになってしまいます。特に甘いものは、食べると脳から幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが出るため「砂糖を摂ると幸せを感じる!」と脳が学習してしまうと依存性が高くなります。すでに習慣化している方は、砂糖の摂取を数日控えると段々と食べたい衝動が起きづらくなります。初めは辛いかも知れませんが、ぜひやってみてください。
睡眠で重要なのは就寝時間です。東洋医学では、午前1時から午前3時の間に日中全身を巡っている血の2/3が肝に集まり、肝の働きによって血は解毒されると考えます。しかし、このとき眠れていないと肝は上手く働けず血を解毒できないため血はどんどん汚れてしまいます。睡眠時間だけを気にする方も多いですが、健康には就寝時間もとても重要です。遅くても日付が変わる頃にはベッドに入り睡眠をとりましょう。
malieの鍼灸治療

当院では、全ての患者さんに対し「本治」と言って症状の根本原因に対しての治療を行います。それぞれの体の状態、体質を診てツボを組み合わせ治療をするので瘀血にもしっかりアプローチが出来ます。
実際に腰痛で来院されたある患者さんの足には、治療前は沢山の細絡(瘀血の所見)がありました。ですが、しばらく治療を続け痛みがほとんど出ないようになってくると細絡も少なくなったのです。
瘀血は病気ではありませんが、病気を引き起こしやすい体質を言います。瘀血が改善されると、それまであった様々な症状が軽くなります。そして、症状が出ても急激に悪化したりせず、少し治療をすれば良くなるようになります。体のあちこちに痛みが出やすい方や慢性化している方、薬を頼らず健康で穏やかに過ごしたい方はぜひ一度当院にご相談ください。
はりきゅう治療院malie
高橋葉月